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日本伝統の足袋で金メダル!?

二足歩行する人間には「土踏まず」がある。
足のクッションやバネの役割を担う土踏まずは子ども時代に発達し、形成される。
足袋生産日本一を誇ってきた行田市はここに目をつけた。
子どもたちが足袋を履けば、足の健康や機能強化に良い影響があるのではないか…。
そこで行田市は、中京大学スポーツ科学部の金子潤助教に調査を依頼。
いつかオリンピックの舞台で、日本伝統の足袋で鍛えた選手が脚光を浴びているかもしれない。

現代人の「土踏まず」は小さくなっている?

35年にわたって継続的に1万人の足を測定してきた調査研究によれば、日本人の土踏まずは徐々に低くなっているという。その原因の一つとして金子助教は、高機能な靴との関係を指摘する。現代人が履く靴は、足を保護するためにさまざまな機能を付加したものが用いられている。特にスポーツシューズは、土踏まずのクッション性やバネ性を補助するように作られたものが多く、こうした機能が成長期の子どもたちの土踏まずの発達を阻害し、それが外反母趾などの問題を起こしやすくしたり、脳の認知機能にも影響を与えている可能性がある。

スポーツ科学研究の成果をまちづくりに活かそう。

スポーツ障害の予防やパフォーマンス向上に有効な機能的な中敷きの研究に携わってきた金子助教が、五本指シューズに出会ったのは6年前。それは、靴底が薄く、足先が5本に分かれた「はだし」に近いもので、世界的にもその効果に注目が集まっていた。以後、金子助教は自身でも「裸足ランニング」を実践し、その効果に関する研究を続けてきた。特に、成長期における土踏まずの形状と身体機能との関係に着目し、裸足教育を行っている小学校で計測を実施してきた。そして数年前、伝統の足袋を地域活性化の起爆剤にしたい行田市と、「はだし」の効果を検証したい金子助教の思いが一致し、プロジェクトが始動した。

伝統の復活で、人間本来の能力を取り戻す。

今秋から、指定の小学校で大規模な調査を開始。数年かけて、靴底の薄い祭り足袋で生活した子どもたちの足の計測を継続的に実施し、その結果を発表する予定だ。計測には、中京大学スポーツ科学部の学生たちが参加。収集したデータの分析から結果のまとめ、地元行田市での発表まで学生が関わる。学生にとっては、スポーツ科学研究の手法を、実践を通して学ぶ場になる。また、今回のプロジェクトでは、集中力や短期記憶など脳の認知機能に与える効果についても確認する予定だ。
かつて日本人は足袋や草履など、足の指を自由に動かせる履物で過ごしてきた。それにはやはり何らかの意味があるだろうと、金子助教は今回の調査に期待する。伝統の復活によって、人間が本来もつべき機能や能力を取り戻す。行田市の地域活性化プロジェクトは、そんなロマンを秘めて動き出した。

プロジェクトコーディネーター・メッセージ

最高のパフォーマンスを出せる身体をつくる、
スポーツが目指すべき基本に戻ろう。

私が「はだし」の効果に興味をもったのは6年程前ですが、それ以前は、足の機能性をサポートする中敷きの研究を続けていました。そして、動きの土台である足は保護し、支えることが大切だと考えていました。しかし、6年前にアメリカ出張した際に「5本指シューズ」というものに出会いました。実際に履いてみると自然と身体が動きたくなり、地面の凹凸が裸足のように感じることができました。その後、靴を脱いで「はだし」で走ってみたところ、さらなる驚きがありました。一般に、走って疲労すると土踏まずは落ちるのですが、「はだし」で走った後では、土踏まずが上がっていたのです。そこから、「はだし」の効果や成長期に与える影響について研究を開始しました。
しっかりとした靴を履けば、そのクッションに頼ることができますが、「はだし」ですと自分自身の身体そのもので対処しなくてはなりません。特に成長期では、「はだし」で足を刺激することが、人間が本来もつべき身体に対する感覚を高めたり、理想的な土踏まずや足の形状にしてくれるのではないかと考えています。
スポーツの世界では今、シューズやウェアなど高機能な道具がたくさん開発されています。最後の手段として、道具に頼ることは「あり」だと思いますが、その前提として、自分自身の身体をちゃんと使えるものにして欲しい。そのための方法の一つが、「はだし」なのです。
そして足袋については、親指が分かれている点に着目しています。足指を動かすことで土踏まずの高さが変化します。また、足裏に刺激が与えられることで足の形状にも影響を与え、外反母趾などの障害を予防する効果も期待できます。さらに今回のプロジェクトでは、身体機能や運動能力に加え、認知機能に与える影響についても確認したいと考えています。もちろん結果がどうなるかは、実際にやってみないと分かりません。参加する学生には、答えを自分で探す研究の醍醐味を体感してもらいたいと思っています。

スポーツ科学部 : 金子潤 助教

「足袋のまち行田」活性化プロジェクト

明治以来、全国有数の生産量を誇ってきた“足袋”のまち行田市では、市内の企業や金融機関等で組織する「足袋のまち行田」活性化推進協議会を立ち上げ、足袋の普及・販路拡大と地域の活性化を一体的に行う事業を推進。取り組みの一つとして、小学校児童に足袋を履いて学校生活を送ってもらい、郷土愛の育成と足袋がもたらす発達、健康に関する効果の検証を行う予定。

PROFILE

スポーツ科学部 金子潤助教

2009年早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程満期退学、修士(人間科学)。日本体育協会公認アスレティックトレーナー。専門はバイオメカニクス、トレーニング科学。特に、身体の土台である足について「はだし」という視点から進化・適応・機能について研究。その成果を、子どもの発育発達や成人・高齢者の体力づくり、障害予防に役立てる活動を展開している。

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