実社会の企業・官公庁と連携する実践的な学びで
社会人基礎力を高める

心で対話するロボットへ。

「言葉」に頼らない、対話ロボットを目指す。

加納教授が開発に着手した当時、言語を使った対話型のAIロボットは登場し始めていたが、まだ上手く話せるものはなかった。なかなか話の噛み合わない人とロボットとの間に対話を成り立たせるためには、言語以外のコミュニケーションも活用すべきであろう。いや、言語に頼らない方がむしろ、心を通わせることができるのではないか…。
すでに言語に頼らない動物型の非言語コミュニケーションロボットも存在していたが、表情や音声で伝えられることは限られる。赤ちゃん型であれば、より豊かに心をつなぎあわせることができるはずだ。さらに、このロボットを実用化すれば、心のつながりを必要としている高齢者の生活環境改善にも役立つかもしれない。

実用化を前提に、産学連携へと発展。

こうして「実用」を想定した開発が始まった。全体のデザインは、世話されることを前提に、自在に動くことのできない0歳児を想定。しかし、ある程度意味をもつ言葉を話せるようにもしたい。それを不自然と感じさせずに実現することが一番の課題だった。果たして何歳くらいの音声言語が最適か。その調査を、研究室の学生たちが行った。
学生たちは、0歳〜4歳までの幼児の音声言語をデータベース化した「幼児語コーパス」と呼ばれる言語資料を基に、年齢ごとの幼児語を赤ちゃん型ロボットに組み込み、実際に人に聞かせ、どの程度まで違和感を与えないかを調査。その結果、「1歳半」という答えを導き出した。
さらに、老年期うつ病に対する効果の高齢者福祉施設での実証実験では、心理学部の教授や学生、外部の精神科の医師にも協力を依頼。開発プロジェクトは、徐々に多くの人々を巻き込みながら進んでいった。こうして2009年に1号機が、2010年に2号機が完成。同年12月には、介護・福祉分野に関心をもつ、東郷製作所が参画することになった。

人間共生を目指し、次のステップへ。

東郷製作所との共同開発は3号機からはじまった。AIを核とした基本設計は研究室で行い、これを基に商品化を想定した設計・製作を東郷製作所が担当することとなった。商品化するためには、必要な強度や品質を確保しながら、軽量化やコスト低減を図る必要があり、これを短時間にクリアするには、人材や設備をもつ民間企業の協力が欠かせない。そして2015年1月から、赤ちゃん型ロボットは同社から「スマイビ」として、介護施設、老人福祉施設を中心に販売されている。
研究室では、このように実際に使用される現場でロボットの効果を検証している。商品化によって、大学の研究室で行ってきた研究の成果が世間に還元されることが、産官学連携の最大のメリットだと言える。そして、こうした社会実験で得られた知見はさらに、加納研究室が目指す「人間共生ロボティクス」の次なる開発へと受け継がれていく。

プロジェクトリーダー・メッセージ

人とロボットが幸せな関係を築くために、多様な叡智の結集を。

コミュニケーションには「言語」によるものと「非言語」によるものの2種類あります。言語は人類が比較的新しい段階で獲得したコミュニケーション手段。一方、非言語によるコミュニケーションは、それ以前から生物が長い進化の過程で獲得してきたものです。中でも感情は、生物が生き延びるためのもの。例えば、危険な動物に出会った時に感じる恐怖は、すぐさま逃げる動機を与えてくれます。また、異性の前でドキドキしながら顔を赤らめれば、相手に好意的な感情をもっていることの証となる。それらは思考とは違う回路で動き、私たちは、その機能によって生き残り、子孫を残してきました。
こうした生き延びるための感情システムをモデル化し、これから家庭の中にやってくるロボットに組み込めないかと考えています。そのためには、幼児語のような原初的な言語以外にも、擬音語や擬態語、感嘆詞など、単体では意味をなさない「言葉未満の言葉」がロボットにどのような効果を与えるか、さらに研究が必要です。また、顔の形や表情、身体の動きなどもコミュニケーションの重要な手段です。ロボットが人に近づくほど、多くの学問分野の知見が必要であり、学際的にならざるを得ません。この研究室では、こうした連携も視野に、隣にいて心を支えてくれるロボットの開発を目指しています。

工学部機械システム工学科 :
加納政芳 教授

株式会社東郷製作所

世界中で事業を展開する自動車用小物ばね製品のトップメーカー。近年、高齢化社会の到来を見据え、独自製品の開発を通じて介護・福祉分野への参入を図ってきた。2010年には、中京大学工学部加納政芳准教授が開発を進めていた「赤ちゃん型ロボット」が高齢者の生活環境改善に役立つことに着目し、プロジェクトに合流。その製品化で連携し、2015年には、商品名「スマイビ」として発売を開始した。

PROFILE

工学部機械システム工学科 加納政芳教授

2004年名古屋工業大学大学院工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。同年、中京大学生命システム工学部身体システム工学科講師に。情報理工学部機械情報工学科講師、同准教授、工学部機械システム工学科准教授を経て、2015年同教授に就任し、現在に至る。研究テーマは、感性・知能ロボティクス,インタラクションなど。特に、人の感性に主導されるヒューマン・ロボット・インタラクションに興味をもつ。2006年日本感性工学会技術賞、2010年日本知能情報ファジィ学会論文賞、2016年日本知能情報ファジィ学会著述賞など受賞多数。

関連サイト:

■株式会社東郷製作所HP
http://www.togoh.co.jp
■いやし型赤ちゃんロボット『スマイビ』紹介ページ
http://www.togoh.co.jp/products/care-smiby.html
■中京大学受験生向けHP「ネットキャンパス」内関連記事
https://nc.chukyo-u.ac.jp/gakubu/kou/kanou.html
■人間共生ロボティクス研究室(加納研究室)
http://www.st.chukyo-u.ac.jp/z104123/

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