生活支援ロボットの
ビジョンシステム開発
大学院進学で、
研究の面白さは
何倍にも膨らんだ
PROFILE
中京大学工学部
機械システム工学科卒
工学研究科
機械システム工学専攻
知的センシング研究室
(橋本研究室)
(静岡県立浜松南高等学校 出身)
飯塚 正樹さん
生活支援ロボットが働くための「視覚の知能化」に挑む。
ロボットがコップに水を注ぐには、コップを認識しただけでは足りません。さらに「コップは水を入れるもの」であることを理解し、「どこから注げばいいか」を目で見て判断する必要があります。モノの形などの情報からその意味や機能を理解することを心理学では「アフォーダンス」と呼びますが、私は現在、生活支援ロボットの視覚にアフォーダンスを植えつける研究を行っています。それには二つの方法があります。一つは、取り扱う日用品がもつ機能を人からロボットに教えて学習させる方法。もう一つは、人からロボットに対して何も教えずに命令だけを与え、いろいろな場所を触れさせながら覚えさせる方法です。私の研究では前者に取り組んでいますが、いずれはこれらを組み合わせることによって、生活支援ロボットに必須のビジョンシステムが完成させられるのではないかと期待しています。
アマゾン・ロボティックス・チャレンジへの参加を契機に。
中京大学では3年次に研究室へ配属され、研究がスタートします。私は、好きだった数学の知識が活かせる画像処理技術をベースに、幅広い応用研究を行っている「知的センシング研究室」を選択。配属されたその年に、研究室が三菱電機などとの共同チームで、知能ロボットの国際大会である「アマゾン・ロボティクス・チャレンジ※」に参加することになり、私は真っ先に手を挙げました。合同で参加された企業の方々をはじめ、さまざまな人、技術に触れ、一気に視野が広がりました。4年次に再び参加した際には三菱電機の研究所に派遣され、システム開発にも携わりました。こうした経験を経て、自らの研究テーマを「ロボットビジョン」の開発に設定。これからのロボット工学の発展に欠かせない技術だと確信したからです。大学院に進学した昨年の大会は名古屋開催ということでメンバーの意欲も高く、「Stow task」種目で世界3位、日本勢でトップという好成績を挙げることができました。
大学院進学で研究の面白さは何倍にも膨らんだ。
大学院に進学して変わったのは、自分なりの考えで動ける幅が広がったことです。研究テーマも研究計画も自分自身で決め、必要な連携先との協力やチームづくりも自由にできます。活動の幅は何倍にも広がり、それに応じて面白さ、やりがいも大きく膨らみました。私にとって、学部生の頃の研究は、研究テーマを発見する準備段階。本格的な研究活動はやはり大学院に進んでから始まったように感じています。早期の研究室配属で企業との共同研究や学会発表など幅広い活動を経て実力をつけることができます。そこで得た多くの経験や成果が、大学院進学への自信になりました。大学を目指す皆さんも、新しいことに挑戦する意欲をもって研究室の扉を叩いてください。その意欲を創造の喜びに変えてくれる仲間たちが待っています。
※アマゾン・ロボティクス・チャレンジ
物流業界における配送品の仕分け作業を想定し、自動で品物を識別し、取り出すための技術を競う競技会。名古屋開催となった2017年大会で中京大学と三菱電機株式会社などとの合同チームは、「Stow task」種目で世界3位、日本勢でトップとなった。
2017年12月取材
知的センシング研究室
担当教員 :橋本 学 教授