レーザー分光による
パワー半導体の特性解明
新素材の可能性を引き出し、
社会に役立てたい!
PROFILE
中京大学工学部
電気電子工学科
光エレクトロニクス研究室
(須田研究室)
(愛知県立瑞陵高等学校 出身)
川瀬 幹貴さん
授業を通してプログラミングの重要性を実感。
エンジニアである父の影響から電気電子工学科を目指し、中京大学なら情報系も同時に学べると考え、入学を決意しました。実際に中京大学では、1・2年次は専攻する学科の基礎と並行してプログラミングについて学びます。また、さまざまな実験をともなった実習も多く、電気電子分野に限らず工学全般にわたって広く学ぶことができます。実験というと、高校では先生から教えられたことを確かめることが中心でしたが、ここでは課題だけが与えられ、実験方法や分析方法も自分自身で計画して行います。そのためうまくいかないこともありますが、仲間と失敗の原因を探して議論しながら解決していく過程が楽しく、理解も深まります。週に1〜2回ほど実験の授業があり、何度も繰り返すことで実験のコツを掴むことができました。本格的に研究室での活動が始まった時に、必ず役に立つと思っています。
新素材の半導体研究で社会に貢献したい。
研究室には3年次から配属されます。そのため2年次の春学期に、各研究室の研究内容や指導方針に関するレクチャーがあり、秋学期に所属先の希望を出します。私はその頃から興味のある研究室を訪問し、先生や先輩たちの話を聞いていました。特に興味をもったのは半導体の素材。現在の半導体はシリコン(Si)でできていますが、徐々にシリコンカーバイド(SiC)の半導体が増えているという話に興味をもちました。SiCは、従来のSiよりも電気的なロスが少なく、高温下でも動作する注目の素材。高校生の頃に、自動車関連企業で働く父から、大手自動車メーカーがこのSiCを使ったパワー半導体※1を開発し、ハイブリットカーや電気自動車の燃費や性能の向上を図ろうとしていると聞き、将来性があり、社会に役立てることができるテーマだと思い、挑戦することにしました。
授業を通してプログラミングの重要性を実感。
SiC半導体の研究においては、素材の電気的特性や機能性をコンピュータシミュレーションで確認する場合もあり、プログラミングは必須です。また、電子回路を設計する「ディジタル回路とHDL※2」という実習では、ハードウェア記述言語(HDL)を使って電子回路を設計するプログラムを書いています。つまり、半導体の開発や電気回路の設計にも、コンピュータなしにはできません。あらゆる分野で情報技術との融合が進んでいることを実感しています。大学の研究で大切なのは、挑戦する姿勢。自ら学ぼうとしなければ、何も得られません。何より答えを教えられるよりも、自ら探していく方が面白いし、理解も深まります。将来は、自動車や電車など電気で動く製品づくりに携わるのが目標です。そこで役立つ知識と力を、研究を通して身につけていこうと思います。
※1 パワー半導体
直流・交流の変換や電圧・周波数を変化させるなどの電力変換に使われる半導体。家電製品、電気器具に安定した電源を供給するパワーユニットや、モーターを精度良く回すためのインバータ装置等に使われ、省エネ・省電力化に欠かせないものとして注目されている。
※2 HDL(Hardware Description Language)
ソフトウェアのようにプログラム言語によって半導体開発を行うための記述言語。設計対象となる半導体の動作や構造を記述するために用いられる。
2017年12月取材
光エレクトロニクス研究室
担当教員 :須田 潤 教授