2021.03.30 学部
経済学部/西尾信用金庫との共同研究「2020年度学生研究報告会」
経済学部山田光男ゼミは3月4日、リモート会議形式で学生研究報告会を開いた。
今年度は山田ゼミの3年生17人が参加し、「西尾市抹茶グランプリによる西尾市の活性化」、「中小企業の廃業問題」、「自動車関連の製造業による医療機器分野への参入」、「地域金融と中小企業~有料職業紹介サービスの必要性~」、「佐久島・観光における3つの提案」の5つのテーマについて、グループごとに研究成果を報告した。
各報告に対して西尾信用金庫お客さま支援部の小幡真幸氏、江口賢太氏からの講評もされた。
山田教授は「学生もリモート会議による報告会ということで戸惑うかと思われましたが、授業でも今年1年このようなツールを利用する機会が多かったこともあり、報告会はスムーズに行うことができました。日頃のゼミナールでのグループ研究の成果を報告し、また好意的なご講評を受けたことは、学生たちの今後の学修活動、就職活動をするうえでの自信になったかと思います」と話した。
経済学部と西尾信用金庫は2018年度12月から、将来の人口減少社会における地域経済のあり方について検討する共同研究「新たな地域創生基盤基準の構築と西尾市経済への応用」を実施している。
この共同研究では、教員と信用金庫職員による研究活動だけでなく、学生の積極的な参加を求め、地域企業訪問や信用金庫職員との対話を通じて、地域経済に関心を持ち、その諸課題について考える、意欲ある学生を育てることをひとつの柱としている。
5つのテーマの詳細は以下のとおり。
・第1報告「西尾市抹茶グランプリによる西尾市の活性化」
農業部門の活性化を「6次化」という視点で捉え、西尾市の特産のひとつ「抹茶」を利用したレシピ・グランプリを提案した。
SNSを通じて広くアイデアを募集し、若い世代にも農業、西尾市に関心をもってもらい、また抹茶を用いた高付加価値製品・サービスの開発に繋げる提案である。
・第2報告「中小企業の廃業問題」
西尾市は、自動車部品産業を中心とした出荷額が増加しているが、事業所数は減少傾向にあることに注目し、中小企業の廃業問題を取り上げている。
近年の廃業理由の中心は経営者の高齢化と事業継承の問題が大きい。
これに対して、オープン・イノベーションの活用を提案し、中小企業の不足がちな研究開発能力、技術要素、人的資源を外部から活用するだけでなく、オープンなコミュニティの中で新たな後継者を探す可能性を示した。
・第3報告「自動車関連の製造業による医療機器分野への参入」
自動車産業が現在100年に一度の大転換期にあり、自動車部品産業の盛んな西尾市製造業にとっても大きな課題となっているという認識のもとに、新たな分野への進出の可能性として医療機器分野を取り上げている。
自動車部品製造で磨かれた「切削加工」「精密加工」「表面処理」「射出成型」技術は、医療機器製造分野でも求められる技術で、競争力を発揮できる可能性を示した。
・第4報告「地域金融と中小企業~有料職業紹介サービスの必要性~」
地方銀行や信用金庫など地域金融の役割に注目し、低金利政策の長期化の中で収益力の強化、業務の効率化が求められていること。
他方で、顧客である中小企業では人材不足の解消やIT投資の増大が求められていること。
地元中小企業の課題に対応するため、また、金融機関の新たな収益源として地域金融機関における有料職業紹介サービスの導入の有効性を示した。
・第5報告「佐久島・観光における3つの提案」
西尾市の佐久島を取り上げた。人口200人程度、多くが第1次産業に就業しているが、近年は観光客年間10万人程度にまで増加し、島内でも観光産業が重要となってきている。
そこで観光を通じた地域の活性化のため、次の3つの提案をした。
第1はSNSによる観光誘致で、リツィート企画、フォトコンテストなどを利用するのが有効であること。第2は広い世代に渡って楽しめる体験型プログラムの導入すること。第3は、空き家を利用した修学旅行・自然体験民泊など民泊の活用すること。これらについて、各地の先進的成功事例をもとに検討した。