中京大学 教養講座

学生一人ひとりが代表取締役。

ドローン傘イメージ

 駅の改札を出ると、空からポツポツと雨が。そこでスマホに「傘をお願い」と囁くと、どこからか飛んできた傘が自宅までエスコートしてくれる…。これは、経営学部の学生が考えた『ドローン傘』の話。現在、彼女はゼミ活動の中で、この傘をつくる会社設立を準備中。ドローン技術の知識もなく、営業や財務の経験もない彼女は今、開発と起業に奔走しながら、自分が何も知らないことに、何もできない自分に気づき、戸惑っているはずです。
 このゼミでは、社会に新たな価値を提供する仕事を学生が自らつくる「起業」に取り組んでいます。真似事でない、真剣勝負のビジネスです。現在は、ドローン傘開発以外にも、新たな福祉用品の開発とその普及に取り組む学生もいれば、新商品で外食チェーンの展開を目指す学生もいます。一人ひとりが社長となり、マーケティングから商品開発、組織づくりまで学生自身が担います。また、練り上げた事業計画を投資家にプレゼンするのも、代表取締役である学生の仕事です。

「自立」は「自覚」から。

 私が学生に期待するのは、社会人としての「健全な自立」です。健全な自立とは、全てを自分でこなせる万能人間になることではありません。自らの限界を自覚しながら、それでもゴールを見失うことなくベストを尽くす。その上で、自分でできないことも、周りの人を巻き込んで実現させていく力をもつことです。
 ビジネスですから、最初からうまくいくことなんてありません。学生たちは、いくつもの壁に阻まれ、失敗を重ねるなかで、多くの人の支えが必要なことに気づきます。その気づきこそ大切です。そこで初めて学生たちは、周りの人たちの声に耳を澄ませ、専門家や経験ある社会人に自分がもつ夢や計画について語ることができます。
 さらに協力者を得るためには、アイデアを磨き上げ、説得力や人間的な魅力をもたなくてはなりません。そのための真剣な努力が「健全な自立」へと導いてくれるはずです。私は、それこそが真の成長であり、社会に絶対必要な力だと確信しています。

もう、若さをムダにはできない。

 これまで日本企業は、長期的な目標を掲げ着実に成長することを得意としてきました。しかし、社会の変化のスピードが増すなかで今、企業経営者には世の中の流れを敏感に感じとること、特にグローバルな競争環境にある企業では1年後、半年後といった短期の目標管理が重要性を増しています。実際に私も、コンサルタントとして各国の企業経営者と接するなかで、若い感性と集中力、瞬発力をもつリーダーが求められていると感じています。
 だから大学生が起業を経験することが、早過ぎると思っていません。世界では10代、20代で起業した経営者たちが新たな市場を拓いています。このゼミでもすでに、学生たちが構想したプロジェクトに期待し、さまざまな企業や専門家らが協力してくれています。
 私も今は、学生たちの野望に巻き込まれている一人です。私の仕事は彼らが自由に発想し、対話し、活動する場を提供すること。そのなかで、雨の日も懸命に前進する姿に、誰もが傘をさしかけたくなる若きビジネスリーダーを育てたいと思っています。

Profile

中京大学経営学部 教授 永石 信

大学卒業後、広告会社勤務を経てインドに留学。1999年国立ジャワハルラル・ネルー大学大学院修士課程経済学専攻修了。同年より2001年まで外務省専門調査員として在インド日本大使館勤務。その後、2005年まで南カリフォルニア大学大学院博士課程経済学専攻在籍。2005年国際経済労働研究所研究員、2010年中京大学経営学部准教授に就任。2015年より同学部教授。26歳でコンサルタントとして独立し、現在も企業のグローバル戦略立案や組織変革に世界を舞台に活躍。

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