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子どもたちを孤立から救おう!

貧困家庭や孤食の子どもたちに、安心して過ごせる場所を提供しようと始まった子ども食堂。
地域に芽生えた、この新たな「つながりづくり」の実態調査に、
現代社会学部成元哲教授のゼミ生たちが乗り出した。ボランティアとして参加しながら
情報を収集し、2017年4月に報告書として『あいち子ども食堂マップ』を発表。
明らかになったのは、子どもの孤立を救おうと頑張る子ども食堂自体の孤立だった。
それが「あいち子ども食堂ネットワーク」の設立につながった。

外から見えない貧困問題、子ども食堂を窓に。

2012年から2015年にかけて福島原発事故後の被災者親子の生活と健康に関する社会調査を行ってきた成元哲教授のゼミ生たちが、次に取り組んだ課題が「子どもの貧困」だった。しかし、これまでゼミ活動で支援してきた災害や事故、公害などの被害者・被災者と違い、貧困によって孤立した子どもたちの状況は外から見えづらく、本人を特定することさえ難しい。本人にも家族にも隠そうという気持ちが働くからだ。そんな子どもたちが気兼ねなく、人と交われる居場所を提供しようと始まったのが、「子ども食堂」の活動だった。そこで学生たちは、この子ども食堂を通じて、貧困や格差という現代社会が抱える分断の実態について学び、そこから脱却するための新しいつながりを模索しようと活動を開始した。

学生たちの、手探りの体験で作り上げた報告書。

しかし、実際に調査を開始しようとしても、どこにどんな食堂があるのか分からない。行政機関や福祉団体に問い合わせても、リストさえもっていなかった。そのため学生たちは、インターネットやSNS、新聞記事から活動団体の存在を確認していった。その上で、各食堂の運営状況を把握するため実際に食堂に赴き、ボランティアとして活動に参加。調理や配膳はもちろん、食後には絵本の読み聞かせをしたり、宿題を手伝ったりしながら、それぞれの子ども食堂の取り組み方や抱えている課題、そこに通う子どもたちの心理状況などについて調査し、記録して報告書にまとめた。こうして愛知県内の食堂を横断するように活動を続けていると、食堂の主催者や福祉関係者など多くの人たちが、学生たちが作る報告書に興味を示してくれた。それが、愛知県内の子ども食堂のネットワーク化につながっていく。

新たなつながりをつくる食堂自体のつながりを。

調査結果によれば、愛知県内の子ども食堂の多くは2016年以降に開設されており、2017年2月時点で少なくとも33ヵ所の食堂が確認された。つまり、みんな初心者ということ。また、運営主体はNPOをはじめ、地元の寺院やレストラン、生協などさまざま。運営方法にも決まったやり方というものはなく、抱える悩みや課題もバラバラだった。共通するのは、他の食堂がどんな方法で運営を維持し、どんな工夫で本当に来て欲しい子どもたちを集めているのか知りたいということ。食堂同士のつながりが求められていることが明らかになった。
2017年4月、子ども食堂の主催者と社会福祉団体などが集まったパネルディスカッションでこの報告書が発表されると、参加者を中心に「あいち子ども食堂ネットワーク準備会」が結成された。その2ヵ月後には中京大学名古屋キャンパスで設立総会を開催し、「あいち子ども食堂ネットワーク」が正式に発足。子どもたちを孤立から救う地域のつながりづくりは新たな段階を迎えた。成元哲ゼミの支援活動は続く。

プロジェクトコーディネーター・メッセージ

生まれたての地域のつながり、
学生と一緒に育てていきたい。

都市化や核家族化が進んだ現代では、貧困という子どもには本来、無関係であるはずのことで家庭や学校、地域の中で孤立させてしまう。しかし社会は、壊れた関係性を別の形で修復する復元力を備えています。その一つが今、地域の中で芽生え始めている「子ども食堂」。この活動は、まだ明確な名前をもたない新しい関係性だと言えます。
中京大学の現代社会学部が掲げる理念は、「人が生きるつながりをつくる」こと。共通コンセプトは「つながり」です。そこで私のゼミでは、子ども食堂という「窓」を通じて、現代の分断された社会の実態について理解を深めようと、今回のプロジェクトをスタートさせました。今は基本的な調査を終えた段階で、今後は、県下の子ども食堂をつなぐネットワーク化のお手伝いをしながら、この取り組みに新しくトライしたい人たちや地域を、学生たちと一緒に支援していこうと考えています。
子ども食堂は、学生の社会調査の実践の場としても最良のフィールドです。とにかく、大学生は子どもたちから人気があります。今回、学生たちは県内の30ヵ所ほどの子ども食堂で厨房のお手伝いのほか、子どもたちの遊び相手になってくれるということで、運営者の方々からも感謝されました。学生たちは、こうした活動の中で自分が感じたことをレポートにまとめ、ゼミ仲間の前で発表することを繰り返してきました。その中で、一見豊かに見える現代社会で今、何が起こっているかを知る手がかりを見つけてくれたと感じています。これからさらに体験を重ね、社会が分断や孤立から脱却するための方策を考え、行動できる人間に育ってほしいと思っています。

現代社会学部 : 成元哲 教授

あいち子ども食堂ネットワーク

地域の子どもたちに無料または廉価で食事を提供する愛知県内の「子ども食堂」の運営者らが、運営ノウハウを共有し、地域や行政への発信力を高める目的で、県内の食堂運営者に呼びかけて2017年6月に発足。中京大学の成元哲教授も発起人の一人として参加。同年6月24日に中京大学名古屋キャンパスで設立総会が開かれ、事務局は成教授の研究室に構える。

PROFILE

現代社会学部 成元哲教授

東京大学大学院博士課程単位取得退学。1992年に公害・環境問題の研究のため韓国から来日し、水俣病に関する住民の追跡調査などを手がけた。2011年3月からは、福島第1原発事故の被害地域で小さい子どもを育てる福島県の母親たちを対象とした大規模な社会調査「福島子ども健康プロジェクト」を継続中。2017年6月に発足した「あいち子ども食堂ネットワーク」に発起人の一人として参加する。

関連サイト:

■あいち子ども食堂ネットワーク
http://aichi-children-dining-network.jimdo.com
■福島子ども健康プロジェクト
https://fukushima-child-health.jimdo.com/

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