実社会の企業・官公庁と連携する実践的な学びで
社会人基礎力を高める

高大連携で企業に挑戦

高校生といえども物怖じしない、積極的な発言が続く。
指導するつもりの大学生が圧倒される場面も。
高校生が大学生と共に開発に挑むのは、「あんまん」や「あずきバー」で知られる
井村屋株式会社(以下、井村屋)の新商品。産学連携プロジェクトを日常的に行っている
坂田隆文教授のゼミでは今回、三重県立四日市南高等学校の生徒と共に、
この新商品企画に挑戦した。
高校生に大学レベルの教育研究に触れる機会を提供する「高大連携教育」。
その「高大」に「産業界」を交える新しい試みが動き出した。

700のアイデアを一つに絞る、その基準とは…

第1回目の授業の最後、グループ分けされた高校生と大学生の混成チームに与えられた課題は、次回までに「一人100の新商品のアイデアを創出」すること。高校の授業では考えらない課題に戸惑う高校生たち。そんな高校生を見て、大丈夫だろうかと心配する大学生。期限は正月を挟んで1ヵ月以上あるが…。
第2回目の授業では見事、一人100のアイデア、チームごとに700以上のアイデアが集まった。しかし、本当の試練はここから。次の課題は、「集まったアイデアを一つに絞り込む」こと。それぞれのアイデアに思い入れがあり、議論は白熱する。最初は、自分の案をアピールするだけの議論がやがて、いったいどんな商品が「良い商品」なのか基準を見つけることの重要性に気づく。しかし、商品の良さを決めるのは教師でも、テストの成績でもない。消費者であり、マーケットだ。果たして自分が提案する商品は、みんなが欲しがる魅力を備えているか…。こうした思考過程を通して生徒たちは、「ターゲット」や「ニーズ」といったマーケティングの基本的な考え方を理解していった。

学校の勉強と社会の仕事の違いは?

絞り込んだ提案商品の具体的な内容を検討する3回目の授業では、井村屋の中道裕久専務取締役との質疑応答に臨んだ。そこで生徒たちは、「価格と商品価値のバランス」や「買う側の立場をイメージすること」など、商品企画で重視すべきことを再確認。さらに、材料の調達や流通ルートの開発、品質管理、製法特許の確認など、一つの商品が生み出されるまでに企業が取り組む仕事の多様さを知った。
最終回の授業は、中京大学に会場を移し、中道専務取締役を招き、3チームがそれぞれに練り上げた商品企画をプレゼンテーション。優秀賞には、ターゲットに設定した女子高生にも知覚過敏の人が多いことに着目し、知覚過敏になりにくい「一口アイス」が受賞。ただ、受賞に関係なく、参加した生徒、学生たちの表情には、やりきった達成感と、もっとできたはずだという反省の色が入り混じっていた。

高校生と大学生が学び合い、成長し合う場へ。

この取り組みは、高大連携の授業を通して高校生に「ホンモノの体験をさせたい」という三重県立四日市南高等学校の要請に、総合政策学部の坂田教授とゼミの学生たち、そして独自の商品戦略が注目されている井村屋が応える形で始まった。
マーケティング戦略を主な研究テーマとする坂田教授のゼミでは、企業とコラボした新商品企画やサービス開発、プロモーション戦略など、さまざまな産学連携プロジェクトが同時進行している。一人の学生がいくつものプロジェクトを抱えており、企業と接触する機会も多い。そんな実践経験豊富な学生たちにとっても、高校生と一緒に商品開発に取り組むのは初めての体験。彼らの役割は、高校生の挑戦をサポートすることだったが、これまでのゼミ研究で培ってきた企画力やリーダーシップ、提案力など自らの力を再確認する絶好の機会ともなった。

プロジェクトコーディネーター・メッセージ

社会という現実と向き合う中で
「本物の力」を身につけてほしい。

最初に企業の皆さんにお願いしたのは、生徒や学生をお客様だと思わず、部下だと思ってほしいということ。例えば、100のアイデアを出しても、企業人として商品化の見込みがないと判断されれば、さらなる提案を求めてほしいとお願いしました。実際、700のアイデアから絞り込んだ最終案を、井村屋様の一言で修正せざるを得なかったチームもありました。しかし、それが企業では当たり前。いくつもの課題をさまざまな部門と連携しながら乗り越え、仕事は進んで行きます。日々、課題解決の連続であり、課題ごとにさまざまな人たちと関わっていく。今回のプロジェクトの目的の一つは、学校の中だけで毎日を過ごす高校生に、自分がいかに世間知らずで、社会から遠い存在だったかを自覚してもらうことでもありました。それを知ることが、その後の勉強や学習に取り組む姿勢に大きな影響を与えるはずです。同様のことが大学生にも言えます。私がゼミ研究で産学連携プロジェクトに力を注いでいるのも、社会という現実と向き合う中で「本物の力」を身につけてほしいからです。ここでは、一人でいくつものプロジェクトを抱え、忙しく動き回っている学生が多くいます。どのプロジェクトに参加するかは本人の自由。しかし、与えられた課題が困難であればあるほど、そして、それを乗り越えてきた経験が多ければ多いほど、社会が求める人材像に近づいていける。これからも、そんな成長の場を多彩に提供していこうと考えています。

総合政策学部 : 坂田隆文 教授

井村屋株式会社

1896年(明治29年)に 初代井村和蔵が三重県飯南郡松阪町(現 松阪市)で菓子の製造を始め、戦後に2代目が戦友らと同社を設立。以後、成長を続け全国規模の菓子メーカーに。1964年には、後に大ヒット商品となる「肉まん・あんまん」を発売。小豆を原料とする商品を特徴とし、特に冷菓の「あずきバー」は、日本国内のスーパーでは9割以上で売られるナショナル・ブランドとなっている。

PROFILE

総合政策学部 坂田隆文教授

2003年神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了、博士(商学)。梅花短期大学非常勤講師、中京大学商学部講師を経て現在、中京大学総合政策学部教授。日本マーケティング学会理事。これまでに名古屋大学、名古屋市立大学、金城学院大学などで非常勤講師を歴任。研究分野は、マーケティング論、商品企画論、流通論、トヨタ生産方式の異業種への活用など。多彩な企業との産学連携を核としたプロジェクト研究、アクティブラーニングを通して、学生のキャリア教育にも積極的に取り組む。

関連サイト:

■井村屋株式会社HP
https://www.imuraya.co.jp
■中京大学総合政策学部 坂田隆文ゼミHP
http://www.sakataseminar.jp/

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