高大接続入試講評(心理学部)2024年実施

事前体験型講義

高大接続入試経営学部事前体験型の講義が2024年8月6日(火)に名古屋キャンパスにて実施されました。

2つの事前体験型講義の講義を受講し、最後にその講義内容を踏まえたレポート作成を行いました。

 

講義実施日 2024年8月6日(火)
実施時間
70分間の講義を2コマ実施
講義形式
対面・講義形式
講義テーマ
①心理療法の系譜
②知覚のしくみ
レポートテーマ・
文字数
①心の問題の治療に対する、精神分析、来談者中心療法、認知行動療法のそれぞれのアプローチの特徴を論じなさい。(200~250字)
②トップダウン処理について説明した上で、街中で他の動物等を熊と見間違えてしまう理由について、トップダウン処理の影響を考慮して考察しなさい。(200~250字)
レポート時間
30分
 講義の前半は「心理療法の系譜」と題し,臨床心理学領域から心理療法について,代表的な理論と技法,そして提唱された背景について講義しました。まず心の無意識を扱う精神分析の紹介から始め,それへの批判から生まれた来談者中心療法,そして実証性に重きを置く認知行動療法について解説しました。そして倫理的観点から,心理療法の実践においては,相談者が抱える問題に適した心理療法を選ぶことが重要であり,バランスよく学ぶことの必要性を話しました。
 後半は「知覚のしくみ」と題し,人間の知覚メカニズムについて多角的に説明しました。視覚的な錯覚や誤認の原因を示しつつ,人間の情報処理の成り立ちと限界を論じました。特に,過去の経験や文脈に基づく知覚の変容 (トップダウン処理) の役割を強調しました。さらに,こうした知覚メカニズムの理解がどのように現代社会で応用できるか,日常生活や設計・製品開発の具体例を交えて述べました。
 レポート
 レポート課題は,2つの講義の理解度を確認するものでした。前半の講義内容 (「心理療法の系譜」) に関しては,多くの受講生が3つの心理療法の理論や技法について理解し,レポートに反映させていました。しかし,各心理療法で重視する点を誤解している受験者も散見され,より深い理解に至らなかった点が少し残念でした。
 後半の講義内容 (「知覚のしくみ」) の課題は,人間の情報処理を構成するトップダウン処理について説明した上で,日常における見間違いの原因をトップダウン処理の観点から論じることでした。多くの受講生がトップダウン処理の説明を適切に行い,講義内容の理解がしっかりと反映されていた点は非常に嬉しく思いました。一方で,そのトップダウン処理の影響を踏まえた解説が論理的になされていないレポートも散見されました。
 まとめ

 今回実施した2つの事前体験型講義では,心理学の基礎から応用までの重要な視点を提供することを目指しました。講義内容をもとにしたレポート課題では,多くの学生が内容を理解し,考察する姿勢が見られましたが,一部では誤解や論理構成の不十分さが見受けられました。表面的な理解にとどまらず,知識を深め,それを論理的に構成して伝える技能のさらなる向上を今後期待します。今回の体験を,今後の学業に活かして欲しいと思います。