高大接続入試講評(経済学部)2024年実施
❚ 単位認定型講義
この科目では、経済学部の教員がそれぞれの専門領域に従って経済学の入門的な内容を講義しています。高校生は経済学部の1年生と一緒になって受講します。この講義の成績は高校生であっても中京大学の学生として在学生と同じ基準で判定を行います。
講義実施日 | 2024年8月5日(月)・6日(火) |
実施時間 | 9:00~17:00
(1コマ90分×4)/日 |
講義形式 | 対面・講義形式 |
試験形式 | 筆記試験(20分)または講義中にレポート作成 |
取得単位数 | 1単位 |
講義内容 | 1.『経済データ』 2.『マクロ経済学』3.『ミクロ経済学』
4.『国際経済』 5.『経済思想』 6.『地域経済学』 7.『労働経済学』 8.『行動経済学』 |
受講生の
主な感想 |
「大学生と同じ空間で同じ授業を受けて、大学生になる想像が以前よりつきました。大学生になるのが楽しみです!」
「八事駅から近くてびっくりした。とてもきれいで、充実した二日間でした。」 「もっと難しい内容で、楽しくないものだと思っていたけれど、身近な例を用いて説明していただけたので楽しく理解することが出来ました。」 「とてもおもしろかったです。今と昔の経済学の思想の共通点、また異なる点などが詳しく分かりやすく説明されていてまた授業を受けてみたいと思いました」 |
本講義を通じて、「経済学」がお金のやり取りだけを考える類の単純な学問ではないということを理解してもらえたのではないでしょうか。特に、経済学には基礎的な理論があり、それを活用しながら経済現象を分析するという視座があることに気づいてもらえたことでしょう。
たとえば、愛知県を対象に議論を展開した地域経済学においても、分析の際にはミクロ経済学や国際経済学で重要な比較優位の理論が紹介されていたと思います。こうした特徴を持つ経済学を学ぶには基礎的な理論の修得が欠かせません。そして、基礎理論を理解するためにはある程度の数学スキルや論理的思考が必要となります。そういうわけですから、入学後に困ることのないように、最低限、数学Iの内容(特に、グラフと数式の対応関係)はしっかりと理解しておいてほしいところです。さらに、数学IIの微分を理解していると経済学の理解は格段に上がるでしょう。
上記のように、経済学を学ぶ上で数学が重要となるのはもちろんのことなのですが、それは国語、日本史、世界史などの文系科目をおろそかにしてよいという意味ではありません。時に経済学は数式や図を駆使して得られた結論を言葉で再解釈してわかりやすく説明しようと試みることがあります。もちろん、わかりやすい説明をするにはある程度の教養や文章力が必要です。読み手にわかりやすく伝わる文章が書けるように、日頃から読書をするなど多くの文章に触れるようにしましょう。また、教養は文章の質を左右しますから、国語や社会科目の学習もおろそかにすることなく、すべて自分の教養になるものと意識して勉強に励むようにしてください。
本選考では、「出願書類」「講義成績」「面接(口頭試問)」の結果をもとに総合的に判定しました。
<面接>
実施日 | 2024年10月19日(土) |
形式 | 個別面接 |
質問内容 | 「経世済民の学び」について理解度がどの程度であるか
経済学について学ぶ意識があるかどうか
(例) 「経済学はどのようなことを分析する学問だと思いますか」 「自身のその経済学の認識を前提とするとき、あなたは大学でどのような学びをし、その学びとともにどのような学生生活を送ろうと考えていますか」 「いま社会で起きている問題の中で関心があるものを、それがどういった問題であるか、そして、あなたがいま考えている解決策を教えてください」 |
面接試験では、志望動機の説明や面接官の質問に対する回答から、多くの受験生が経済学に高い関心を持っていることが感じ取れました。たとえば、「○○教授の○○という分野に関心を持ったので経済学部を志望しました」、「受講した講義のうちの○○先生が担当された○○という分野に興味がわいたからです」などの回答がありました。これらの回答をもらえたことは教員としてうれしい限りなのですが、残念なのは「その先」がないということなのです。関心を持ったというのであれば、その問題や分野が大雑把に言ってどのようなものであるかを調べる(無論、詳細は入学後に学ぶわけですから詳しくなる必要はありません)、あるいは、関心があることの学びが自分の将来にどう役立ちそうかを考えるなど、しっかりとした準備やより深い思考をしてきているだろうと面接官は当然期待します。
しかし、そうした準備や思考をすることなく、単に「関心がある」というのでは面接官としては残念な気持ちになります。「その先」を想定して、今、あるいは、近い将来に何をするべきかを合理的に考え、実行するという一連の行動様式を身につけましょう。たとえば、「将来、銀行員になりたい」と思っているとしましょう。その場合、「銀行員として経済学を身に着けておくべきだと思うので経済学部を志望しました」というのにとどめるのは望ましくありません。そうではなく、将来なりたいと思っている銀行員とはどのような職務を担うものなのかについて調べ、それに必要となる知識や技能は何か、そうした知識・技能を身に着けるためにはどのような学びを大学でする必要があるのか(そのために、今できることは何か、どんな準備をしているか)、そして、どういった点でその知識・技能を修得するのに中京大学経済学部が適切であるといえるのか熟考した上で、自分オリジナルの志望動機を作り出すように心がけるようにしてください。