高大接続入試講評(現代社会学部)2024年実施
│事前体験型講義について
2024年8月23日(金)に豊田キャンパスにて70分の講義を2コマ実施した後、それぞれの講義の内容に関して250~300字程度のレポートを作成してもらいました。
1コマ目 | 社会意識の時代による変化について考える講義でした。まず、「日本人の国民性」調査や「世界価値観調査」などさまざまな継続調査を紹介し、人びとの価値観が時代によって変化していることを示しました。また、意識の変化は量的な調査だけでなく、「子どもの名前」「流行歌」などからも捉えることができることを、クイズ形式を交えつつ、説明しました。講義の後半では、2000年代以降の日本の若者が、将来に大きな不安を感じているにもかかわらず目立って生活に満足していることを政府調査データなどから紹介しました。また、なぜこのような変化が生じたのかについて、研究者らの解釈を示しました。 |
2コマ目 | 大学1年生が受講する実際の講義をベースとして、「フィールドワークの歴史を辿る」というテーマで行いました。本講義ではまず、自分とは異なる世界に暮らす人びとの文化や社会について探求する文化人類学という学問が、実際に自分が現場に足を運んで記録を集めるフィールドワークを核として発展してきたことを話しました。次に、同じくフィールドワークを軸として文化人類学よりも数世紀前に展開した博物学の歴史を辿りながら、そこでのフィールドワークがなぜ文化人類学のフィールドワークの始まりとはならなかったのかについて、著名な博物学者として知られるダーウィンの『ビーグル航海記』の記述をもとに読み解きました。 |
❚ レポート課題について
講義内容をもとに2つの課題が設定されました。
1コマ目 | なぜ若者の満足度が高まっているのか、①研究者らの解釈を要約し、②それとは別の解釈を提示するものでした。①は、板書を写しただけか、自分なりにしっかり理解し具体的に説明できたかで差がつきました。②は、安易にインターネットの影響を指摘する者が多かったものの、すでに社会学的な思考ができている優れた解答も一定数ありました。 |
2コマ目 | 文化人類学のフィールドワークがなぜ一般的に博物学のフィールドワークを起源として語られないのかについて、講義の内容に触れながら説明するというものでした。講義の内容で取り上げたキーワードを含めて問いに対して正確な解答ができているものもありましたが、事実を誤認しているものや授業の内容にほとんど言及せずに説明しているものもあり、解答にはばらつきが見られました。全体として、授業に対しては真面目な受講ぶりが見られましたが、答案のなかには30分のレポート作成時間の配分がうまくいっていないものもあり残念でした。 |
│ 参加した高校生の声
「パワーポイントを使ったり、クイズが出たりして自分で考える時間があり面白かった。」
「全然知識のない状態で受けた講義でしたが、分かりやすくて、面白かったです。」
「現代社会学部の講義を体験出来き、ますます興味が持てました。」