心理学部

4領域の研究紹介

実験心理学領域

実験心理学|近藤ゼミ

感じ方、受け止め方の
個人差にスポットを当てる。

脳や心の動きをとらえ、データ化する。

人によって、あるいは見方によって、壺に見えたり人の横顔のシルエットに見えたりするこの図は、考案者である心理学者にちなんで「ルビンの壺」と名付けられています。こうした錯視を引き起こす図を図地反転図形と呼びます。また、実際は静止画なのに動画と錯覚させる図や、錯視を引き起こさせる動画も多々あります。興味深いことに、どのタイミングでどう見えるかは人それぞれです。視覚だけではありません。最近は咀嚼音などのASMR音を「心地よい」と感じ、好んで聞く人が多いですが、逆に不快だと感じている人もいます。視覚や聴覚などの知覚体験には個人差があるのです。近藤ゼミでは、人間の多様性という観点から、動画、音声などへの反応を個人ごとに調べたり、脳波を測定するなどして意識・無意識のこころを数値化し、検証していきます。

※ASMR:人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地よい、脳がゾワゾワするような反応。

仮説を立てて実験を行い、科学的に検証。

学生たちはまず、図地反転図形などで生じる錯視・錯覚を実体験。これを通じて、無意識的な心と脳の働きを直観的に理解します。ゼミの卒業研究では、数名単位のグループ学習をおこない、グループ内で実験する人、解析する人、資料を作成する人、といった役割分担をします。実験を行ってデータを取り、統計手法を用いて解析を進めます。その後、論文にまとめ、研究結果を発表します。近藤研究室では脳科学の研究機関や企業との共同研究も進めているため、学生は最先端の科学に接する機会も多くあります。
例えば、安静時に多く現れるという脳内のアルファ波について、「課題に集中しているときにはどのような“ゆらぎ”が認められるのか?」というテーマに仮説を立て、脳波計を用いて測定実験を実施。併せて、研究活動で必要となるプログラミングの技術や統計手法、PCソフトの操作スキルも修得します。仮説・実験・検証を重ねることで、世の中に流れる情報を鵜呑みにせずに自ら考えて判断する科学的なリテラシーも身につきます。

応用心理学領域

組織心理学|松本ゼミ

集団の中でいきいきと過ごすために。

組織の中で、人の心には何が生じるのか。

職場での人間関係やハラスメントなど、さまざまなストレスが社会には潜んでいます。職場に限らず、学級やサークルなど複数の人によって構成される組織にあっては、そこに所属する人々は日常的にこうした問題と隣り合わせている場合もあります。組織集団の有り様は時代と共に変化しており、世の関心事も移り変わっていくものです。一方で、集団社会に生きる人々の心の内には、いつの世も変わらない不安や悩みがあるのも事実です。この研究室では、ストレスやモチベーション、リーダーシップなど、組織の中で人の心に生じる多様な課題にスポットを当てています。対人ストレスはなぜ起こるのか、集団活動において個々のモチベーションを保つためには組織がどのようにあるべきなのか、といったテーマに向き合っています。

問題へのアプローチ、解決に向けたスキルを学ぶ。

研究を進める際には、調べて整理することが重要です。調査対象にもよりますが、WEBを活用したり調査委託会社を活用するなどした広範な対象に向けての質問紙調査や、人を対象とした実験室での実験など、手法はさまざまです。質問項目の設定の仕方、ちょっとした表現の違いが回答に大きな影響を及ぼす可能性があるため、配慮が必要です。また、統計ソフトを用いて分析を行うため、データ処理のスキルが着実に身につきます。組織と人間が抱える問題は、簡単に答が見つかるものではありません。例えば「職場では本音で語れない」という人がいる場合、なぜそのような状況が起こってしまうのか、問題の一つ一つを解きほぐしながら要因は何か検討していきたいと考えています。

心理学の視点が社会で求められている。

組織と人間など実社会において生じる問題に着目し、その解決に向けて探っていくのが応用心理学です。例えば、交通事故の発生を抑えるためにドライバーの心理状況を探る交通心理学や、製造現場などでヒューマンエラーの発生や事故を防ぐことを目指す産業心理学なども、応用心理学領域です。産業の高度化が進む中で、応用心理学の重要性はますます高まることでしょう。この分野の研究を深めることは、非常に意義深いことです。また、たとえ研究者を目指すのではなくても、大学で身につけた心理学の視点が社会のさまざまな場で役立つことは間違いありません。当ゼミの卒業生たちも、メーカー、金融などの一般企業に勤めるビジネスパーソンや公務員として、社会で活躍しています。

環境心理学|尾入ゼミ

色彩の好みが十人十色でない不思議。

心地よい空間づくりを目指して。

色の好みは文字通り十人十色。例えば、「あなたの部屋の壁をどちらの色にする?」という単純な問いかけをすれば、ある人は赤色を、またある人は青色と、人それぞれの色が選ばれます。ところが、「食事をするなら」、「勉強するなら」などの条件をつけて、好みの部屋の壁の色について質問すると、被験者の多くが同じ系統の色を選び始めます。色の選択には個人の好みを超えた、多くの人に共通する生活習慣や文化の影響が反映されているのかもしれません。それを明らかにしていくのも心理学の仕事です。この研究室ではこうした色彩やインテリアに対する感性の法則性や心理的傾向を活用して、多くの人が快適と感じられる空間をつくりあげたり、作業効率の上がる色彩の選択など、室内空間、作業環境の快適性向上に関する研究に取り組んでいます。

社会や産業の高度化で広がる心理学応用の可能性。

人の感性の法則性や行動特性が分かると、さまざまなものへの応用が可能となります。例えば、交通安全。見やすい信号や標識、案内表示板の色やカタチはもちろん、子どもたちが安心して渡れる横断歩道の開発や高齢ドライバーに対する安全教育プログラムの作成などの分野では、すでに心理学的な検証が進められています。また、産業分野における心理学応用の歴史は古く、作業効率、生産性向上を目指した作業手順や設備配置、ストレスの軽減、作業効率を向上させる環境改善などに応用されています。また、使う人の感性や使用傾向に配慮した製品デザイン、多くの人の心に訴えかける商品パッケージや広告のデザイン開発など、マーケティングと結びつきながらビジネス分野においても広く活用されています。

今、心理学的素養をもつ人材が求められている。

こうした応用心理学は、実験や観察によってある法則性を見つけ出すという点で実験心理学領域と似ています。しかし、実験心理学が人間の心のメカニズムの解明に焦点を当てているのに対し、応用心理学は実社会のニーズに着目します。実は日本では、こうした応用心理学を扱う大学は多くありません。しかし、産業の高度化が進む中で、応用心理学の必要性や可能性はますます広がっています。そのため中京大学は先駆的な心理学研究に取り組むと共に、心理学的素養とそれを産業や公共分野、市民生活に応用しうる人材育成においても中心的な役割を果たさなくてはなりません。心理学の基本は実験であり、観察です。学生はここで、自ら問題を見つけ、その要因や解決法について仮説を立て、データ収集分析し、発表するという、ビジネスで行われている課題解決のプロセスを繰り返し体験します。それが心理学的な素養と共に、未来を切り開く大きな力となるでしょう。

臨床心理学領域

発達臨床心理学|明翫ゼミ

発達障害についての理解から始まる。

発達障害と向き合い、考える。

自閉症、アスペルガー症候群や学習障害などの発達障害について、2000年頃から少しずつ社会での認知が広まってきました。一方で、まだまだ「自分たちとは違う人」と思い込んで、異なるというだけで避ける場合もあるようです。この認識は正しいとは言えないと私たちは考えます。一般に発達障害の人は、得意と苦手のギャップが大きいために、そうではない人から見ると自分たちとは違う印象となってしまうのです。しかし、得意なことや苦手なことに対する彼らの行動傾向をごく薄めて考えると、恐らく「自分もあてはまる」と感じる人が少なからずいることでしょう。決して「自分とは違う人」などではないのです。理解することによって一緒に支え合って生きていくこと(共生)が可能になるのです。

セルフコントロールなどを体験学習。

ゼミでは、発達障害や子どもの情緒障害についてテキストを通して理解を深めます。また、不安のコントロールやストレスマネジメントにつながる体験学習も実施。その一つが呼吸法演習です。良い呼吸ができているかどうかは心拍数で読み取れるため、機器を使って心拍変動をチェックしながら正しい呼吸法を身につけます。「心拍変動バイオフィードバック」と呼ばれる技法で、子どもの心を落ち着けるための手法の一つとして学んでいますが、こうしたセルフコントロールのスキルがあれば、就職面接を前に緊張感を鎮める時などにも応用できるでしょう。ゼミでは、事例研究など発表の機会を必ず設けており、プレゼンテーション能力も自然と身につきます。さらには、毎年4月2日の「世界自閉症啓発デー」に名古屋・栄で行われる自閉症啓発デーイベントに参加。学生たちで相談し合って、一般の方々に自閉症への理解を深めていただくため、参加型のクイズの実施なども手がけています。

現代社会で必要性が高まる臨床心理学。

ゼミや学外イベントに向けての話し合いを通じて、自分の考えを発言する機会を得るだけでなく、相手の意見を最後まで聞いて真摯に受け止める機会も重ねます。また、発達障害の子どもたちを通して、その親が直面する心理的な葛藤やストレスにも気づかされます。自分とは異なる多様な存在を認め、理解しようとする姿勢は、臨床心理学の礎ともなるものです。2017年から「公認心理師」という国家資格が設けられるなど、現代において臨床心理学の重要性は一層高まっています。心理専門職として社会で活躍する以外にも、人の心の理解に努める姿勢は、日常生活のあらゆるシーンで活かされていくことでしょう。

アートセラピー|馬場ゼミ

心を語るのは、言葉だけじゃない。

創作活動を通して言葉にできない心模様を表現する。

心は外から見ることも触れることもできません。心が傷ついていても、それが今どのような状態なのか、本人にさえ分からない。そんな時、自らの心と向き合うための援助として行われるのが心理療法としてのアートセラピーです。実は、心を語るのは言葉だけではありません。むしろ、言葉にできない/ならないことこそ、大切なことを語ってくれる場合があるのです。そのためにアートセラピーは、さまざまな創作活動を通じてクライエントのメッセージを読み取ります。アートセラピーには音楽や舞踏なども含まれますが、この研究室では、描画やコラージュといった視覚芸術を中心に取り上げています。視覚芸術は作品が残るため、継続的に制作された作品の変化をみることで、心の変化を理解することができるからです。

安心できる空間の中で、クライエントに気づきが生じる。

例えば、雑誌などから好きな写真を選んで切り貼りするコラージュ作品の場合、クライエントが切り抜いた写真の数だけでも、心の変化を捉えることができます。数が増えれば、それだけ心のエネルギーが増していると考えられます。他にも切り抜き方、配色や選択した写真の傾向など、注目すべき点はさまざまに存在します。そして、表現を読みとることだけがアートセラピーの目的ではありません。それ以上に大切なのは、創作という心の作業を通してクライエント自身が自分の心に気づくこと。そのためにセラピストは安心できる空間を提供し、共に作品を眺めながら話し合います。創作によって心が元気を取り戻す過程を見守り、援助する作業がアートセラピーなのです。

心理学の学びが活かされる機会は増大しつつある。

アートセラピーは心理療法の一つであり、心の問題を解決することを目的としています。ゼミ生は、事例研究を通じてその基礎を学びます。ゼミ生が実際の事例を担当することはできませんが、これまでにもたくさんの事例が公表されており、まずは文献から心の病気について、心理療法のアプローチについて学びます。このように、この研究室では人の心のあり様を理解し、時に傷つきながら自己治癒力を発揮する不思議な“心”についての正しい知識をつけることを目指しています。自分の心に気づき表現することの大切さを学ぶことは、臨床心理専門職につく人だけでなく、複雑化する社会の中で、人々が心を健康に保つために強く求められているものではないでしょうか。心理学の学びは、日常生活にもきっと活かされていくことでしょう。

発達心理学領域

生涯発達心理学|川島ゼミ

喪失から再生への物語を紡ぐ。

死と共に、人はどう生きるのか。

大切な人との死別は、遺された人の心に大きな穴を空けます。この喪失が精神的な苦痛や生活上の困難を引き起こし、時には自殺の危機を招くこともあります。しかし、人はただ悲しみに押し潰されるだけの存在ではありません。その辛い経験を意味づけ、ことばにしていくことで、一歩一歩再生の道を歩きはじめます。近年こうした、喪失体験を意味づけ、物語る行為に着目する「ナラティヴ・アプローチ※1」が多くの関心を集めています。川島ゼミでは、人が自らの死や近親者の死をどのように受け止め、その無力感や喪失感と向き合いながらいかに生きていくかなど、死生の問題を心理学的な観点から考察。グリーフケア(悲嘆ケア)や自殺予防などの支援に役立つことを前提にした心理学的技法の研究も行っています。

質的研究を通して、生きられた経験に触れる。

発達心理学というと、乳幼児から青年期までをイメージする方が多いかもしれませんが、人は青年期以降も家庭や仕事、財産などさまざまなものを得て歳を重ねていきます。しかし同時に、いろいろなものを失ってもいきます。離婚や失業を経験する人もいれば、重大な病気で身体機能を失う人もいます。身近な人との死別や自らの死とも向き合わざるを得ません。大切なのは、こうした一生涯にわたる発達の多様なプロセスに注意を払うこと、そしてその人生の個別性に着目することです。典型的な物語にのみ目を向けていると、人が自分自身の人生をどのように捉え、意味づけているかは見えてきません。ゼミでは、そうした意味づけに迫る、質的研究※2を重視しています。現場へ赴き、実際に人に会い、インタビューなどを通じてデータを収集し、それを質的に分析し、まとめ、報告する。自分の身体を通じて個々の語りに向き合うことで、それぞれの生きられた経験に触れることができます。こうした研究プロセスを通して、自分自身のものの見方を磨いてください。それは、あなた自身が人生を生き抜く力にもなるでしょう。

※1ナラティヴ・アプローチ:相手が語る「物語(ナラティブ)」を通して、抱えている内面的な問題の解決法を探るアプローチ手法。さまざまな理論的立場から提案されているため、定義も複数存在する。教育や医療、ソーシャルワークなどのさまざまな分野で実践されている。
※2質的研究:フィールドワークや観察、インタビューなど、非数値型のデータから得られる知見や洞察に基づき、数値や統計では把握しにくい人々の意識や複雑な事象の成り立ちを理解しようとする研究手法。

家族心理学|小島ゼミ

見えてくるのは、
愛情だけで語れない家族のリアルな姿。

家族が織りなす心模様の変化を追う。

人の心は生涯にわたって成長し、変化します。そして、子どもが親の愛情を受けて成長するように、親は子育てによって親らしい心を獲得していきます。しかし、その発達過程はとても複雑です。時に親も子もストレスを抱えて苦悩し、傷つけ合うこともあります。家族の実像は外からはなかなか見えてきません。そこで私たちは対象に寄り添い、観察します。このゼミの研究テーマは、子どもと親、家族を対象に、それぞれの心理や行動の特性を明らかにすること。それがどんな要因によって起こるのか、生涯発達的な観点から考察しています。

心の質的な変化は生涯にわたって続く。

発達心理学はかつて、「児童心理学」と呼ばれていました。反抗期や思春期の子どもに行動の変化が現れることはよく知られています。しかし、そうした心の発達は、成人した時点で終わるものではありません。親になりたての人の中には、大きなストレスを抱え、イライラしてまわりに当たり散らしたり、自分だけの殻に閉じこもろうとしたりする人もいます。しかし多くの親は、子どもや家族との関わりの中で徐々に「親らしさ」を獲得していきます。また、定年退職を迎えた男性は、はじめは社会や家族との関わりの変化に戸惑いますが、やがて趣味や地域との対話の中に新たな生きがいを模索していきます。心の発達は生涯続くものであるという観点に立ち、子どもに限らず、受精から死に至るまでの生涯にわたる人間の心の質的な変化に着目し、その発達の多様性や個別性を描き出そうとするのが「発達心理学」という領域です。

大切なのはフィールドで自ら感じ取ること。

今日、社会の変化のスピードが増す中で、人々が受けるストレスも増大しています。それにともない、さまざまな心の問題も顕在化。特に中高年の心の発達が高齢化社会を迎えて重要なテーマとなっています。こうした心の発達過程を明らかにするためには、観察・調査・面接などの方法が用いられます。このゼミでは、「フィールドに足を運ぼう」をポリシーに掲げています。ゼミ生は、地域の子育てサークルや障害児支援のボランティア等に参加し、さまざまなフィールドで自分の目で見たもの、心で感じたことを記録していきます。そして、研究室でそのデータを定量化・分析する作業を実践しながら、行動観察の技術を修得していきます。現場で身をもって何かに気づいたり感じたりすること。これなくして、人の成長や人間関係における問題を見つけ出すことはできません。この経験は、あなた自身の心理学的な視野を広げるだけでなく、社会との多様な関わり方を教えてくれるでしょう。

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