実社会の企業・官公庁と連携する実践的な学びで
社会人基礎力を高める

日本の中の世界を巡る旅へ

地域に根付きはじめた、多文化の「街」を行く。

ツアー初日は、名古屋市内の朝鮮学校を訪問。韓国・朝鮮籍の若者たちとのディスカッションを通して、100年以上に及ぶ在日コリアンの歴史や彼らが置かれている現状について学ぶ。日本の学生たちは、異なる文化の中で生きる取り組みが何世代にもわたって続けられてきたことを知った。対話に応じてくれた相手は、自分たち日本人と何ら変わらないように見える。しかし、生い立ちや家族の関係性などから、一人ひとりが抱える問題は多様だ。
中国やブラジル、フィリピン国籍の人たちの中にも、祖国への郷愁を抱えながら老後を迎えようとする人もいれば、日本で生まれ、日本を祖国のように意識しながら育った子どもたちもいる。そしてさまざまな場所に、外国籍住民と日本人が反発と融和を繰り返しながら、共生の道を探ってきた歴史がある。日本の中に多文化が混ざり合う地域が広がろうとしている今こそ、彼らの声に耳を傾ける必要がありそうだ。

多文化共生に挑み続けてきた「街」の現実に目を凝らす。

夕食は市内中心部のフィリピン料理店へ。その女性店主の気さくなおもてなしに、学生たちは多彩な料理を楽しんだ。名古屋市中区に住むフィリピン人は1700人以上。若い人たちとのふれあいを楽しみにしてくれるお年寄りも多い。
翌日は、日系ブラジル人の家族が多く住む豊田市北部の保見団地へ。そこでブラジル人学校を運営するスタッフから、かつて日本人住民との軋轢が社会問題化した時代を経て、多文化共生の先進地として知られるまでに変貌を遂げてきた「街」の苦悩と希望について聞いた。話のあと、その足跡を探して、団地周辺地域を散策。あらゆる看板に日本語とポルトガル語が併記され、この「街」ならではのゴミの出し方のルールも作られていた。それでもまだ、解決すべき課題は多いと言う。

全国の学生たちと、世界と共に生きる未来を考える。

これからも、この活動は続く。すでに他の大学も、各地域でツアーを企画しようと動き出している。地域によって国籍のバリエーションも異なり、日本人住民の外国籍の人々に対するイメージも異なる。例えばブラジル人に対して、東海地域の学生は製造業で働く人たちを思い浮かべるが、東京の学生たちはサッカーのスター選手をイメージする。今回、全国の学生が参加したことによって、外国人に対する印象にも地域ごとに大きな違いがあることが分かった。今後、多文化ツアーが全国で展開されるようになれば、各地域の特性を映し出すことも可能となるだろう。
そして、このツアーを続けることで、日本の中の多文化共生の課題を、日本人と外国籍住民の双方の視点から明らかにできる。多様な思想や文化を受容し、未来にふさわしいものに洗練させてきた日本人の知恵が試されている。

※愛知県社会活動推進課多文化共生推進室「愛知県内の市町村における外国人住民数の状況(平成28年12月末現在)」より。

プロジェクトコーディネーター・メッセージ

多文化の「街」で何が起こっているか、
学生たちの気づきを、社会に知らせる契機に。

今後も外国籍の人たちは増え続け、その国籍も多様化することが予想されています。多文化共生の問題はますます私たちに身近なものになっていくでしょう。しかし、多文化社会を形成する地域の情報はなかなか伝わってきません。伝わってくるのは報道やニュースを通して、つまり日本人の視点から集められた情報ばかりです。早くから多文化を受容してきた地域では、何かが起こっています。多文化共生につながる新しいものが生まれているはずです。それを、次代を担う学生たちに実際に見て、感じてもらおうというのが、今回のプロジェクトの目的です。ツアーの企画と運営に当たっては、愛知に住む外国籍の人たちの生の声を広く地域に発信しようと活動するDiVE.tvさんのネットワークを活用させていただきました。
今回のツアーを通して学生たちは、たとえ国籍は違っても、自分たちと同様に就職や恋愛に悩み、日々を懸命に生きる人たちの素顔に出会えたようです。同時に、それぞれの国籍をもつ人たち特有の、日本で生きる困難さにも気づいたことでしょう。
今後は、その気づきをいかに地域社会に伝えていくのかが課題です。このゼミでは、愛知の人たちに多文化共生の課題を伝え、共に考えるきっかけを提供していくのかについても、研究し、実現していきたいと思っています。興味のない人にこそ、知ってもらいたい。それが、社会を変えるために必要だからです。

国際教養学部 : 渋谷努 教授

多文化交流メディアDiVE.tv

より深く、よりリアルな多文化交流の促進を目指して、動画サイトの運営を中心にさまざまな活動を展開する市民団体。愛知県に暮らす外国にルーツをもつ人たちが、日本人と一緒に多文化共生の現状と魅力を発信する場づくりを行う。「あいち多文化ツアー」はその活動の一環として、公益財団法人トヨタ財団の支援のもと、中京大学とのコラボレーション企画として始まった。

PROFILE

国際教養学部 渋谷努教授

2002年東北大学大学院文学研究科修了。同研究科文化人類学研究室COEフェローを務める。博士(文学)。専門は文化人類学、移民研究、ヨーロッパ研究など。フランスのモロッコ出身移民の国境を超えた調査を行い、また愛知県内での外国籍集住地域での調査及び実践的活動を行っている。

関連サイト:

■多文化市民メディアDiVE.tvサイト
http://www.dive-tv.nagoya

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